文化遺産ボランティア養成講「荒木山西塚古墳発掘調査報告会」

7月28日(日)、北房文化センターで第3回北房文化遺産ガイド養成講座「荒木山西塚古墳発調查報告会」を開催しました、講師は、調査員として中核となって発掘調査を行った、真庭市教育委員会生産学習課の新谷俊典課長補佐。「荒木山東塚・西塚の調査について」と題して、調査に至るまでから、調査の様子、 出土遺物などから今現在分かっていることなど、分かりやすく話されました。市内外からの80数名の参加者(会員や一般)は熱心に聞き入っていました。報告の概要は以下の通りです。

1 .荒木山古墳とは、

               真庭市上水田南部にある二基の古墳の通称,真庭市重要文化財(史)

2.これまでの東塚・西宮の評価

東塚は、前方部がバチ形。箸墓古墳等と同じ頃に築造され北房でも(真庭市でも)最古の古墳。西塚は、 東塚に次いで築かれた四世紀代の首長填の可能性。

              3.東塚・西塚の測量・探查調査

 平成28年、荒木山の古墳を顕彰する会が発足。平成29年、墳丘の測量を市に要望。平成30~令和2年度、公民館講座で東塚・西塚の非破壊調査。

(探査結果)

東塚…後方部墳頂に木棺直葬か粘土杯の埋葬施設の可能性等。

西塚…後円部項頂に深さの異なる複数の竪穴式石室が存在する可能性がある。

              4.西塚発掘までの道のり

令和2年、顕彰する会、市長との意見交換会で発掘調査を要望。

令和3年、北房振興計画に発掘調査を位置づける。市民が参画する形での発掘調査が具体化する。

令和4年、名称変更した北房文化遺産保存会と市、同志社大学で西の明日香村コンソーシアムを結成。発掘調査サポーターの募集とワーキンググループの設立。民学官連携の発掘調査体制ができる。

              5.西塚の発掘調査

                            (調查目的)

墳丘の規模や構造、 石、埴輪など外表施設の有無の確認。東塚と西塚の間の高まりの性格の確認。

(一次調査…令和4年度)

後円部等に2カ所のトレンチ(T1・T2)。実働29日・延べ1,063人(市民663人)参加。

                            (二次調查…令和5年度)

後円部・前方部等に五カ所のトレンチ(T3~T6とT2の東部分)。実働34日、延べ887人(市民717人)参加。

後円部

          ・頃裾(墳丘端)を確認。

・墳丘下部は地山の削り出し、上部は盛土。

              ・外表施設として石列を二列確認。東側には無い。

              ・墳頂部の浅い箇所で石灰岩の礫集中を検出。

              前方部

              ・後世の改変で墳裾が削平。

              ・古墳に伴うであろう石灰岩礫や土器片が多数出土。

・前方部を削平した平坦面には墳丘と関連するような痕跡が残っていない。

              ・盛土造成が少なく、地山をかなり利用。

              東塚と西塚の間の高まり

・地山を掘削して用いた盛土と考えられる土層を確認。盛土の中から板状鉄斧が出土。→人工的な高まりであることが判明。

・5年度の調査で墓墳(埋葬施設を築くために掘り込んだ穴)の痕跡を確認。

・墓墳底面付近から赤色顔料が出土。→東塚と西塚の間に墳墓が存在する。

              出土遺物

・出土遺物の大半は土器片。

・全体の形が復元されるものは少ない。完形に近いのは二点。小型丸底壺の時期は、古墳時代前期後葉(四世紀中頃~後葉)。長頸の壺形土器は、県内でも類例の見られないものである。

              ・明確な円筒埴輪は皆無。

・弥生土器が一定量出土。荒木山が古墳築造以前にも生活空間として利用されていた。

              6.まとめ

・西塚古墳が全長65m、 後円部高さ5.8m、二段築成以上の前方後円墳であること。外表施設として、墳丘裾部や斜面に石列を設けた古墳。

・ 円筒埴輪は用いられず、 壺型土器などが墳丘上に建てられていただろう。

              ・四世紀中頃から後葉。

              ・新発見の墳墓は、古墳時代前期の古墳と考えられる。

・西塚の主は、盟主的な立場というより在地的な性格が強いのではないか。

等々

「新しく見つかった古墳にはどういう人が埋葬されているのか。」「前方後方墳と前方後円墳が近接して造られているのは。」「北側だけで南側に石列などがないのは。」と、報告後も熱心な質疑応答となりました。

 2階ロビー(受付横)では出土遺物の展示もあり、熊心に見入っている参加者の姿も。また、参加者にはガイド養成テキストだけでなく、第一次発掘概要報告書のプレゼントもありました。

【参加者の感想アンケートから】

一般参加者

・新谷さんのお話、スライド、知識の無い私にもわかりやすかった。発掘作業に携わらせてもらたのですごく身近に感じることができた。

・分かりやすい説明でよかった。当時の人の暮らし、社会がどうだったのかなど、もっと知りたくなった。

・古墳発掘に参加させてもらった。その時感じたことを学術的、知的裏付けを今日知ることができて北房のすごさを感じている。

・発掘調査の成果をよく理解することができた。今後参加できるようなイベントがあればぜひ参加したい。

参加の会員

・発掘調査に参加させてもらったことを思い出すと同時に、点が線となり全体として客観的に考えることができた。発掘の仕方(初歩)から大学や地域・市役所・いろいろな方々に教えてもらい楽しい時間を共有できた。 ・自分の参加した発掘調査の成果を聞くことができて楽しかった。今後も荒木山古の研究が進むよう調査が続いてほしい。

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